女性の薄毛治療にミノキシジルは使える?効果と副作用を解説

薄毛の悩みは男性だけではありません。実は女性でも薄毛に悩まされる人は増えているのが現状です。

そこで「男性の薄毛治療にはミノキシジルが有効だけど、女性の薄毛治療でも使えるの?」と疑問を抱く方もいることでしょう。

まず結論からお伝えすると、女性の薄毛治療でもミノキシジルは有効的です

近年では女性のためのミノキシジルも増えています。

しかし、女性のミノキシジル使用にはいくつかの注意点があることも事実です。

男性のように安易に使用することができないため、女性の使用には慎重になる必要があります

当記事では、女性がミノキシジルを使用するための方法や副作用などの注意点を詳しく解説していきます。

正しい理解のもと使用できるよう最後までお読みいただき、ぜひ参考にしてみてください。

著者情報 吉川貴紀hair-care編集部
吉川 貴紀
AGAに悩み様々な薄毛対策グッズを利用した経験があります。その際に感じた商品の効果や経験者ならでは調査力を活かして、薄毛に悩んでいる読者にわかりやすく役立つコンテンツをお届けします。様々な最新情報もお届けできればと思います。

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ミノキシジルは女性の薄毛治療にも使用可能

冒頭でも女性もミノキシジルを使用できるとお伝えしました。

このことは日本皮膚科学会が定める「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」にも次のように記載されています。

CQ3:ミノキシジル外用は有用か?
推奨度:A
推奨文:ミノキシジル外用を行うよう強く勧める
(男性型脱毛症:5%ミノキシジル,女性型脱毛症:1%ミノキシジル)

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン

女性型脱毛症に関しては,1%,2%,および
5%ミノキシジルを用いた 8 件のランダム化比較試験
を解析した,1,242名の女性被験者を対象とした観察期
間 24~32 週のシステマティック・レビューにおいて,
ミノキシジルの有効性が明らかになった

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン

簡単に要約すると、女性へのミノキシジル外用薬の使用はもっとも高い推奨度の”A”と定められています。

また、女性のミノキシジル使用試験の結果、有効性も明らかになったとも述べています。

つまり、日本皮膚科学会でも女性の薄毛治療にミノキシジル外用薬の積極的な使用を推奨していることがわかります。

女性の薄毛治療に使われるミノキシジルの効果について

女性の薄毛治療に使用されるミノキシジルにはどのような効果が期待されるのでしょうか。

ここからは、女性がミノキシジルを用いた薄毛治療について詳しく解説していきます。

一般的に女性の薄毛治療にはミノキシジル外用薬(塗り薬)が使用されます

商品によって若干の使用方法は異なりますが、そのほとんどが1日2回朝晩に気になる部分に塗り込んで使用します

ミノキシジルのおもな効果
  • 発毛因子産生を促進
  • 血管拡張作用
  • ヘアサイクルの正常化

しかし、男性用と女性用ではミノキシジルの含有量が異なります。

理由は、男性より女性がミノキシジルを使用するほうが身体への危険性が高いからです。

市販されているミノキシジル外用薬は、男性用では最大濃度5%、女性用では最大濃度1%とされています。

女性用のミノキシジル濃度が低い理由は、女性へ高濃度のミノキシジルを用いた臨床試験が行われていないからです。

つまり、1%を超えるミノキシジルを女性に使用するとどのような副作用が生じるのか事例がないと捉えることができます。

個人で市販のミノキシジルを購入する際は、男性用と間違えないよう注意しましょう

ミノキシジルには「内服薬」と「外用薬」の2種類あり

薄毛治療のミノキシジルには外用薬と内服薬の2種類があります。

一般的にミノキシジルと聞くと塗り薬の発毛剤を連想する人が多いですが、実は内服薬のほうが高い発毛効果が期待されています。

しかし、ミノキシジル内服薬は副作用のリスクも高く臨床試験もしっかり行われていないことから、男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでも推奨度D(行うべきではない)と勧められていません。

CQ14:ミノキシジルの内服は有用か?
推奨度:D
推薦文:ミノキシジルの内服を行うべきではない.
解説:ミノキシジル内服の有用性に関して臨床試験は実施されていない

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン

【ミノキシジル内服薬の承認国はある?】
実は、ミノキシジル内服薬をAGA治療薬として承認している国はひとつもありません。

とくに妊娠中の女性はミノキシジル内服薬を服用することをおすすめできません。

理由は、ミノキシジルは血流を良くする働きがあるため、心臓への負担も大きくなるからです。

妊娠中に服用すると、胎児の心臓にも強い負担をかける恐れがあり非常に危険です。

とはいえ、ミノキシジル内服薬を用いた治療は発毛効果が高いため、AGAクリニックでも積極的に取り入れているのが現状です。

どのAGAクリニックでも、発毛プランにはミノキシジル内服薬を必ず使用しているといっても過言ではありません。

ミノキシジルの内服薬と外用薬の違いは?表で比較

ではミノキシジル外用薬と内服薬ではどのような違いがあるのでしょうか。

下記の比較表をご覧ください。

治療薬名ミノキシジル外用薬ミノキシジル内服薬
分類第1類医薬品医薬品
発毛効果ゆるやか高い
副作用のリスク低い高い
おもな副作用頭皮トラブル(湿疹、かゆみ、あかみ)、頭痛、めまい、初期脱毛多毛症、肝機能障害、めまい、動悸、心疾患、初期脱毛
治療の推奨度A(行うよう強く勧める)D(行うべきではない)
購入方法市販or医療機関医療機関のみ

表の比較でもわかるとおり、外用薬は第1類医薬品に分類されるため薬剤師のいるドラッグストアや通販などで購入できます。しかし、内服薬は医薬品のため医師の処方が必要になります

副作用は、頭皮の湿疹やかゆみなど外用薬は表面的にあらわれる軽い症状が多いなか、内服薬は心疾患や肝機能障害など重篤な症状が起こる危険性があります。

健康被害のおよぶ可能性の高さや、胎児におよぼす危険性からも妊娠中や授乳中を含むすべての女性が服用するのは推奨できません

もしミノキシジル内服薬の服用を希望する場合は医師に相談するとよいでしょう。

ミノキシジルと女性用薄毛治療薬を比較

ミノキシジル以外の女性用薄毛治療薬
  • パントガール
  • スピロノラクトン

女性用の薄毛治療にはミノキシジル以外にも上記の薄毛治療薬があります。

上記2つはミノキシジルに比べると知名度が低いため、初めて耳にした人も多いことでしょう。

では「パントガール」「スピロノラクトン」とは女性の薄毛にどのような効果のある治療薬なのでしょうか。

ミノキシジルとあわせて2つの治療薬を比較してみました。

治療薬名ミノキシジルパントガールスピロノラクトン
分類第1類医薬品医薬品医薬品
タイプ外用薬内服薬内服薬
薄毛への効果発毛促進抜け毛の抑制抜け毛の抑制
副作用軽め極軽
購入方法市販、通販、医療機関医療機関医療機関
料金相場5,000円~6,000円(税込)9,000円~11,000円(税込)約5,000円(税込)

パントガールは医薬品に分類される女性用の薄毛治療薬です。

一般的には女性に多い「びまん性脱毛症」「産後脱毛」などの治療薬として使用されていますが、近年ではFAGA患者にも使用されることが増えています。

男性用AGA治療薬とは違い、ホルモンへの影響が少ないため女性でも服用が可能です。

一方で、スピロノラクトンは男性ホルモンと関連のある医薬品です。しかし、男性ホルモンの量を操作するものではありません。

抜け毛を促進させる男性ホルモンである「ジヒドロテストステロン」とホルモン受容体との結合を防ぐ働きがあります。

結合を防ぐことで、男性ホルモンの量は減らさずに抜け毛を抑制する効果が期待できます。

パントガール、スピロノラクトンは妊娠中の女性や授乳中の女性には服用をおすすめできません。

基本的に、内服するAGA治療薬は胎児へのリスクを考えると妊娠中や授乳中の女性の服用は控えるようにしましょう。

ミノキシジル以外のAGA治療薬は男性専用の物もあるので注意

ミノキシジル以外のAGA治療薬で有名なものに「フィナステリド」「デュタステリド」成分を含むものがあります。

しかし、フィナステリドやデュタステリドを含む治療薬を女性が服用することは承認されていません

なぜなら、これらの成分は男性ホルモンの生成を抑制する治療薬のため、もともと男性ホルモンが少ない女性にはホルモンバランスが乱れる危険性があるからです。

また、妊娠中や授乳中の女性が服用すると胎児が男児だった場合生殖機能に障害を起こす恐れもあります。

「男性型脱および女性型毛症診療ガイドライン」でも次のように記載されています。

妊婦に投与すると DHT の低下により男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れがあり,妊婦または妊娠している可能性のある女性,授乳中の女性への投与は禁忌である.
以上のように,男性型脱毛症に対するフィナステリド内服の発毛効果に関して,高い水準の根拠があるので,内服療法を行うよう強く勧める.他方,女性型脱毛症には内服療法を行うべきではない.

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン

これらの理由から、男性用のAGA治療薬を女性が服用することは避けるべきです。

フィナステリド成分を含むAGA治療薬の先発品に「プロペシア」があり、デュタステリド成分を含むAGA治療薬の先発品には「ザガーロ」があります。

まとめ

これまでの説明をまとめると、女性の薄毛治療にミノキシジルの使用は非常に有効です。

しかし、市販されているミノキシジル外用薬は濃度1%までとし、内服薬は医師の診断に従い妊娠中や授乳中の女性は服用を避けるなどの徹底が大切です。

また、服用する際は使用方法をしっかり理解し副作用にはじゅうぶんに気をつけましょう。

ミノキシジル以外の薄毛治療薬にはフィナステリドデュタステリドなどの男性ホルモンを抑制するものとパントガールスピロノラクトンなどホルモンに影響が少ないものがあります。

女性が服用するなら、ホルモンの影響が少ないパントガールやスピロノラクトンをミノキシジルと併用するとよいでしょう

いずれにしても、医師の処方のもと正しく服用することが望ましいです。

ぜひ一度、AGAクリニックへの受診を検討されてみてはいかがでしょうか。