生理痛がひどいのは病気が理由?ひどい生理痛の原因や対処法も解説!
多くの女性が経験する生理痛は、人によりひどい痛みをともなうことがあります。
「朝起きたときから鋭い痛みが続く」「日常の活動がままならないほどの不快感を感じる」とお悩みの方もいるでしょう。
本記事では生理痛がひどい理由とその対処法を紹介します。
また重度な生理痛の治療法、医療機関を受診する目安も解説します。
これを読めば生理痛の原因や対処法がわかるのみではなく、深刻な病気の可能性も把握できるためぜひ参考にしてみてください。
生理痛に関する正しい知識を身につけ、痛みの改善を目指しましょう。
生理痛がひどい時の主な原因
生理痛がひどい理由として挙げられるのは次のとおりです。
- 機能性月経困難症
- 器質性月経困難症
- プロスタグランジンの分泌量が多い
- 精神的・身体的ストレス
- 冷えによる血行不良
各項目を詳しく解説します。
機能性月経困難症
機能性月経困難症は、思春期から20歳代前半の若い女性に多い疾患です。
検査により具体的な病変が見つからない場合に、機能性月経困難症と診断されることがあるでしょう。
出産経験がなく子宮頸管が狭い方や、体質的に痛みを強く感じやすい方に多く見られます。
一般的に月経の1~2日目に激しい痛みが現れ、周期的にひきつるような痛みが続くことが多いです。
痛みの強度や周期性には個人差があり、日常生活に影響を与えるほどの辛さを感じることもあるでしょう。
機能性月経困難症は、出産を経験すると生理痛が軽減する傾向にあります。
器質性月経困難症
30歳以上の女性に多くみられる生理痛の原因として、器質性月経困難症があります。
器質性月経困難症は、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などの器質的な疾患によるものです。
出産後の女性で月経痛や出血量が増えたり月経前から痛みが出たりする場合は、器質性月経困難症の可能性があるでしょう。
器質性月経困難症の特徴は月経の4〜5日前から痛みがはじまり、月経が終わるまで持続することです。
鈍い痛みが周期的に続くのも特徴といえます。
症状を改善するためには、生理痛の背後にある疾患への理解が必要です。
適切な治療により生理痛が軽減する可能性があります。
プロスタグランジンの分泌量が多い
生理期間中に子宮内膜がはがれ、体外に排出される際に、プロスタグランジンという物質が生成されます。
プロスタグランジンの生成量が過剰な場合、子宮収縮が極端に増加して下腹部や腰の痛みが陣痛のように感じられることがあるでしょう。
プロスタグランジンには痛みを増幅する効果もあるため、頭痛や腰痛の原因となる可能性もあります。
薬の服用によりプロスタグランジンの生成を抑制できるケースもあるため、医療機関を受診して診察を受けましょう。
精神的・身体的ストレス
心身にストレスを感じることで、ホルモンや自律神経の調和を崩し、血行不良を起こして痛みが強くなります。
さらにストレスは体温調節機能を低下させるため、冷えを引き起こすこともあるでしょう。
生理と精神的ストレスが重なると、その影響で痛みをより強く感じやすくなります。
たとえば生活環境の変化や精神的なプレッシャーにより、生理痛がひどくなるケースもあります。
ストレスを避けるためにも、生理中はとくに睡眠不足や過度な緊張を避けることが重要です。
できるだけリラックスして、心身のバランスを保ちながら過ごすように心掛けましょう。
冷えによる血行不良
生理がはじまると体温が下がり、プロスタグランジンの影響で血管が収縮して血流が悪くなります。
身体が冷えると血液循環が阻害され、プロスタグランジンが骨盤内で滞るため、痛みが増幅することがあるでしょう。
また冷房の効いた場所で過していたり長時間の立ち仕事をしていたりすると、血流が悪化して生理痛がひどくなる原因になる可能性もあります。
生理中の体は冷えやすい状態にあります。
ひざ掛けの使用や使い捨てカイロの活用などで、下腹部や腰部が冷えないよう配慮しましょう。
生理中の冷えは痛みを強める要因の一つであり、適度な温かさを保つことで痛みの軽減に寄与します。
生理痛の一般的な症状
生理痛で感じることの多い主な症状は次のとおりです。
- 腹痛
- 腰痛
- 頭痛
- 吐き気
- 貧血
- イライラする
腹痛
腹痛は生理痛のときに多く見られる症状です。
生理開始前に分泌されるプロスタグランジンと呼ばれるホルモンは、子宮収縮を促し経血の排出を支援します。
しかしプロスタグランジンは痛みや熱、腫れを引き起こす成分としても機能します。
プロスタグランジンの影響で、子宮や周囲の血管が収縮し、腹痛を生じることがあるでしょう。
腰痛
腰痛も生理痛のときに起こりやすい症状の一つです。
生理中の腰痛もプロスタグランジンの過剰分泌が原因です。
プロスタグランジンの作用により子宮やその周辺の血流が悪化して、骨盤周辺にだるさや痛みが現れます。
頭痛
生理中の頭痛は女性ホルモンの分泌量が影響します。
生理前になると、女性ホルモンのエストロゲンと血管収縮を促すセロトニンという脳内物質が同時に減少します。
エストロゲンとセロトニンの不足により、脳内の血管が拡張して頭痛が引き起こされることがあるでしょう。
生理中の頭痛は通常の偏頭痛よりも長く続き、痛みが強く表れる傾向があります。
吐き気
プロスタグランジンの過剰分泌により、吐き気を感じることがあるでしょう。
プロスタグランジンは子宮以外に胃や腸も収縮させます。
胃や腸の収縮により胃の不快感が生じ、それが吐き気として表れます。
貧血
生理中にめまいや立ちくらみなど貧血の字症状が表れることがあります。
通常の貧血は血液中のヘモグロビン値の低下により起こりますが、生理中の貧血は脳貧血によるものです。
生理中はホルモンバランスと自律神経が乱れるため、脳貧血が引き起こされます。
また経血量が多い場合は、鉄欠乏性貧血の可能性も考えられるでしょう。
イライラする
生理前や生理中のイライラ感や不安感などの精神的症状は、女性ホルモンのエストロゲンの減少によるものです。
エストロゲンは心身をリラックスさせる働きがありますが、生理期間中はその分泌が減少します。
その結果些細なことでイライラや不安を感じることがあるでしょう。
生理痛がひどいときの対処法
生理痛がひどくてつらいときは、次に紹介する対処法を試してみましょう。
- 姿勢に気をつける
- 身体を温める
- 軽めの運動で血行促進させる
- 生理痛に効くツボを押す
- アロマなどの香りでリラックスする
姿勢に気をつける
生理痛を軽減するために、できるだけ楽な体制をとりましょう
生理痛がひどいときは、無意識に体が緊張して足やお腹に力が入るものです。
しかし力が入ると血流の悪化につながるため、できるだけ力を抜いて適切な体勢をとる必要があります。
たとえばデスクワークなら、足を横に開いて骨盤を正しく立てるような乗馬のポーズを試してみましょう。
夜寝る際は横向きになり背中を少し丸め、膝を曲げることで腹部の緊張を緩和できます。
生理中はリラックスできる体制を心がけてください。
身体を温める
温かいお風呂で身体を温めることで、生理痛を和らげる効果が期待できます。
温熱効果により筋肉がリラックスし、血流が促進されるでしょう。
お風呂にエッセンシャルオイルを加えてリラックス効果を高めるのもおすすめです。
日常生活では、お腹周りを冷やさないように暖かい布やひざ掛けを使用しましょう。
お腹まわりの筋肉を温めることで、生理痛の緩和につながります。
軽めの運動で血行促進させる
ストレッチやウォーキングなどの軽めの運動は、血液循環を促進して生理痛の緩和に役立つでしょう。
運動により筋肉がほぐれることで、痛みやこわばりが緩和される効果も期待できます。
ただし過度な運動は逆効果となる可能性があるため、無理のない範囲で適切な運動を心掛けてください。
生理痛に効くツボを押す
生理痛に効くツボの刺激により、痛みの軽減効果が期待できます。
足のくるぶしにある照海(しょうかい)、手の親指と人差し指の付け根にある合谷(ごうこく)などのツボには、体のバランスを整え生理痛を和らげる効果があります。
適度な力加減で、指の腹を使用してマッサージをおこないましょう。
アロマなどの香りでリラックスする
アロマオイルのリラックス効果により生理痛が軽減されることがあります。
ラベンダーやローズなどの香りにはストレス軽減効果があるため、ストレスが原因となる生理痛に効果的です。
アロマディフューザーやアロマキャンドルを使用して、部屋中に香りを広げるのもおすすめです。
アロマの香りでリラックスすることで、生理痛の緩和につなげましょう。
症状がひどい生理痛ではなく病気の可能性も
日常生活がままならないほど生理痛がひどい場合は、ただの生理痛ではなく病気の可能性も考えられます。
生理痛に関与する病気は次のとおりです。
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 子宮腺筋症
子宮内膜症
日常生活に支障をきたすほどのひどい生理痛の場合、検査の結果子宮内膜症が見つかることがあります。
子宮内膜症は、子宮内膜の組織が子宮以外に生じる疾患です。
子宮内膜組織が生理の際に剥がれて出血を繰り返すことで、周辺組織が癒着して剥がれにくくなります。
これが生理痛として激しい痛みをともなうことになります。
また腰痛や性交痛、排便痛などの症状が表れることもあるでしょう。
子宮内膜症は生理のたびに症状が進行するため、生理痛が慢性的に重なるような場合は早めに医療機関を受診してください。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮内に発生する良性の腫瘍を指します。
30歳以上の女性に多い疾患であり、女性ホルモンのエストロゲンによる影響で増大する傾向があります。
腫瘍の位置や大きさ、数、成長速度には個人差があり、症状も多様です。
経血量の増加や不正出血、貧血、腰痛、頻尿などの症状が生じることもあります。
子宮筋腫は閉経による女性ホルモンの減少にともない、腫瘍の大きさも縮小するのが一般的です。
子宮筋腫の位置や症状により、治療の必要性は異なります。
症状が軽く筋腫が小さい場合治療は必要ありません。
子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮の筋肉内に子宮内膜の組織が形成される疾患です。
子宮内膜症と似ている疾患ですが、子宮内膜組織の形成される位置が異なります。
女性ホルモンの影響で症状が悪化するため、閉経後は症状が軽減するケースが多いでしょう。
ひどい生理痛や経血量の増加、生理時以外の腹痛、貧血、腰痛、排便痛、性交痛などの症状が生じます。
子宮筋腫や子宮内膜症と併発しているケースもあり、MRIなどの検査により診断が必要です。
症状が軽い場合は特別な治療の必要がありません。
生理痛の診察で病院に行く目安
生理痛がひどい場合は、病院を受診して適切な治療を受けましょう。
ここでは生理痛で病院を受診する目安を紹介します。
- 生理痛により生活に支障が出る
- 市販の痛み止めが効かない
- 出血量が増えた
- 血のかたまりが出た
- 経験したことない痛みを感じた
生理痛により生活に支障が出る
生理痛が日常生活に大きな影響を及ぼす場合は、病院の受診を検討しましょう。
痛通常の活動や仕事ができないほど痛みが強いなら、病院を受診するべきです。
市販の痛み止めが効かない
市販の痛み止めで効果が感じられない場合は、病院の受診が必要です。
痛みが我慢できないほど酷い場合は病院で診察を受け、適切な薬を処方してもらいましょう。
出血量が増えた
通常よりも出血量が多い場合や生理周期外に出血がある場合は、医師に相談しましょう。
異常な出血は婦人科系疾患の可能性があるため、早めの診察が必要です。
血のかたまりが出た
生理中に大きな血のかたまりが出る場合も注意が必要です。
医師に状況を説明して、適切な処置を受けましょう。
経験したことない痛みを感じた
過去に経験したことのない痛みを感じた場合も、病院を受診するタイミングです。
痛みが強くなったり新たな症状が生じたりするときは、ほかの疾患が原因の可能性があります。
生理痛の治療方法
生理痛を改善するための治療は、主に薬の服用によりおこなわれます。
生理痛の治療に使用される主な薬は次のとおりです。
- 鎮痛剤
- 低容量ピル
- 漢方薬
鎮痛剤
機能性月経困難症の治療では、鎮痛剤の服用が有効とされています。
一般的に使用されるのは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)という薬です。
非ステロイド抗炎症薬にはロキソニン錠、ボルタレン錠、バファリン錠などが含まれます。
痛みがひどくなる前に服用すると鎮痛効果が高まるため、早めの服用がおすすめです。
痛みの強さにより、1日2回~3回の服用が必要なケースもあるでしょう。
低容量ピル
避妊薬として知られる低用量ピルは、生理痛の軽減にも役立ちます。
子宮内膜の増殖を抑制することで痛みの原因となるプロスタグランジンの分泌が減少し、子宮の収縮が緩和されます。
低用量ピルは月経前症候群(PMS)や生理不順にも有効です。
適切な服用により、生理に関するさまざまな悩みを軽減して生活の質を高められるでしょう。
漢方薬
漢方薬は中国発祥の医学であり、日本でも広く用いられています。
個人の体質や症状にあわせて処方されるため、個別のアプローチが可能です。
漢方薬は天然由来の成分を使用するため、副作用が出にくいのも特徴といえるでしょう。
月経困難症の改善に用いられる主な漢方薬は次のとおりです。
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
医師と相談のうえ、症状にあわせた漢方薬を処方してもらいましょう。
生理痛に関するよくある質問
生理痛に関してよくある質問と、その回答を紹介します。
生理痛は病気?
生理痛自体は病気ではありません。
しかし重度な生理痛が日常生活に支障をきたす場合、月経困難症と診断されることがあります。
適切な治療により改善されることが多いため、我慢せずに専門医の診察を受けましょう。
生理中ではなくても診察は可能です。
生理痛がひどいと不妊になる?
生理痛がひどくても、妊娠しにくくなることはありません。
ただし生理痛の原因次第では不妊のリスクもあります。
たとえば子宮内膜症が原因の場合、卵管周囲に癒着が生じて卵子の受精が難しくなる可能性があるでしょう。
炎症により子宮周辺の環境が悪化し、妊娠が難しくなるケースも考えられます。
心配な場合は、自己判断せずに医療機関で相談するとよいでしょう。
生理がこないのに腹痛がある場合病院で受診するべき?
生理の時期以外でも下腹部に痛みを生じることがあります。
生理と生理の間に腹痛が起こる場合は、排卵痛の可能性もあるでしょう。
卵子が卵巣から放出されるときに出血し、その際に痛みを感じることがあります。
一般的に排卵痛は短期間で収まりますが、痛みが長く続く場合は他の要因が考えられます。
子宮内膜症や卵巣の嚢腫(うしゅ)など、婦人科疾患の可能性もあります。
生理日以外に持続的な下腹部の痛みがある場合は、早めに医療機関を受診して検査を受けましょう。
まとめ
ひどい生理痛に悩む女性のために、生理痛の原因や対処法を紹介しました。
痛みの原因として考えられるのは、ホルモンの影響やストレス血行不良などです。
生理痛は生活習慣や栄養、運動などを通じて痛みが和らぐ可能性もあります。
生理痛の仕組みや原因を理解して適切な対処をおこない、痛みの軽減につなげましょう。
あまりに痛みが強い場合は、検査により子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が見つかることがあります。
決して我慢せずに、本記事で解説した病院を受診する目安を参考にして、医療機関を受診してください。